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同窓会の会員のみなさま、お元気ですか?:山中博心先生より

2005/04/13

福岡大学人文学部長 山中博心教授

^3月20日の地震で被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。
「天災は忘れた頃にやってくる」と言いますが、記憶にも記録にも多分ないような震度6と言う大きな地震が福岡の地に起きたことを天の声と考えたくなります。

^玄界島では多くの家が倒壊し、島の人々は市内の体育館に避難し、不自由な生活をしいられておられます。心のケアーに従事されている人文学部の先生の話では、心のダメージは島の人々の密なるコミュニティーのおかげでそれほど深くはないと言うことです。固有名の関係の世界。高層ビルの立ち並ぶところで同じような大きな被害が出たらどうだったでしょう。隣の人と、垣根もなく寝泊まりすることが大きなストレスになっているのではないでしょうか。一戸一戸、一部屋一部屋厚く硬い壁で仕切ることは他者から自分を守っているようで、孤立しているのかもしれません。匿名の無関係の世界。都市のインフラ整備、ITの基盤整備を強固にすれば人間の生活が豊かで快適になると言う考えが、今回のことで問われているような気がします。

^ほぼ時を同じくして、「個人情報保護条例」が4月1日から施行され、大学でもその対応に追われています。そのひとつが、これまで学生の成績を保護者に通知していたのですが、20才以上の学生の場合は、今後本人の同意が必要となるそうです。何か腑に落ちません。いろいろなことに法律の網がかぶせられるようになり、言わずもがなのことまで言わなければならないと言う逆立ちした世界です。自分を開くことで自分の安心が得られるとは考えられないでしょうか。常識で判断したり、直観的に行動していたことが人工的で不自然なものに取って代わられようとしています。こんな時だからこそ、みなさまが学んでこられた人文学が最も必要となってくるのではないでしょうか。人間の基盤はITやインフラ以前に考えなければならないことだと思います。

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