卒業生からのメッセージ 第1回 日野鐘子さん
2004/10/01
10月より卒業生からのメッセージ募集を開始しました。
トップバッターは、平成15年卒 日本語日本文学科の日野鐘子さんです。
日野さんには、パソコンの故障にもめげず、たいへんお忙しい中原稿をいただきありがとうございました。
人文学部で人間力を学ぼう!
日野 鐘子
<プロフィール>
日野 鐘子(ひの しょうこ)
日本語日本文学科 平成15年卒業
広告制作会社プランナー(平成16年現在)
「人文学部卒業です」
「英語が話せるの?すごいね~」
「いえ、英語は苦手です…」
「じゃあ、何語?」
「日本語です」
就職活動中、何度かこのような会話をしました。ただでさえ人文学部は就職が難しい、といわれがちな昨今です。中でも日本語日本文学科は、何をできるのか、という疑問が持たれる学科なのです。
しかし、私たち卒業生はいろいろなかたちで自分の仕事や、人生をみつけています。決して就職に不利というわけでもないし、無意味ではないのです。
学生時代、オープンキャンパスで人文学部の紹介を担当したときに、たくさんの高校生の方から「日本語教師になれますか?」「マスコミに就職するのに有利ですか?」と聞かれました。答えは、「有利ともいえるし、いえなくもある」のです。
今は、マスコミ関係にも理系の方はいますし、全く関係のない仕事をしていた方が、勉強して日本語教師になったという例もあります。
つまり、大学では資格や経歴は手に入りますが、それを生かすのは自分次第。人文に入ればマスコミにいけます、などの約束できないのです。
しかし、就職に有利だと思う点があります。それは「人間力」です。
人文学部の学生は日文に限らず<本を読んでいる><話が好き><自分について考える><人間に興味がある>というような傾向があるようです。これらは、最近の若い人にあまりみられない要素ではないでしょうか。
これらの要素は、現代の企業が求めている人材に、欠かせないものだと思います。コンピュータや技術が発達しても肝心なところは人間が必要なのです。資格や経歴が手に入っても、それを使うのは人間次第。そして人間はひとりではないのです。必ず周囲の人々とコミュニケーションをとる必要があります。人文学部はそのような力、つまり「人間力」を持っている人が多いと思います。また、「人間力」を養うため、切磋琢磨できる場所なのです。
一見就職に役に立たないように見える人文学部ですが、急がば回れ、という言葉もあるように、遠回りにみえて実は仕事や人生において重要なものを学んでいるのです。
会社の面接で、やはり冒頭のような会話がありました。
「日本語を勉強しました」(これを言うと不思議がられるだろうなあ…)
「日本語か~!いいなあ。日本語をきちんと話せる人はいい!」
「そ、そうですよね!」(おお~、初めて言われた…)
というやりとりを経て、私は現在、広告制作会社のプランナーをしています。特別な資格は持っていません。(日本語教師の資格はありますが…)
やはり、自分を知り、自分をアピールする「人間力」が決め手なのではないでしょうか。また、文学や語学は、人生を豊かにするものです。その豊かさを学ぶ術を知っている私たちは、これからの時代に必要とされていると思います。
就職活動中の後輩のみなさん、興味のあることを、恐れずに追いかけてください。そうすれば、道は自然とできていくと思います。
たくさんの福岡大学人文学部の先輩方が、見守っています!