「私とあなた」山中博心先生の卓話~“Novis2004”より~
2004/04/27
^山中先生は、3月3日生まれの55歳。九州大学大学院をご卒業後、福岡大学に赴任して早24年。時代を一歩先取りの学生結婚だそうです。
^今回のテーマは、「私とあなた」です。人間は、ある種の関係の中で生きている。私とあなたという関係。このフレーズを聞いた途端に、私の頭は、いえ私の心は何か忘れかけていたものを思い出しました。何て文学的なアカデミックな世界なのでしょうと。
^先生は、19c~20c始めのドイツ文学がご専門です。ドイツの作家であり詩人の、ヘルマン・ヘッセは、敬虔なプロテスタントの家庭で厳しい躾を受けながら育ちました。ヘッセのお話を聞きながら、みんな親と子の関係に心の葛藤をしているのだと考えさせられました。親と子の関係は、生物学的な生き物として逃れられないものがあります。私とあなたの関係は、人文科学で、私とそれの関係は自然科学の関係であると。
「私が変われば、あなたも変わる。」また、逆もある。「あなたが変われば私も変る」。重心を変えれば動きも変わるわけで、関係も変わると。
^他者をいかに受け入れるか?‘90年代の始めごろから特に若者の間では、腹が立つという言葉に代わって『ムカつく』、『切れる』という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、それ以前は、腹が立つという表現を使っていました。腹が立つというのは、相手の言葉を一旦は、お腹の中まで受け入れています。切れる、ムカつくというのは胃まで入っていく前に喉もとで吐き出してしまっています。この受け入れ方によって、私とあなたの関係は、大きく変わります。
^私とあなたの関係は、まず相手を受け入れなければ始まりません。私が変われば、あなたも変わる。最後はこのことに尽きそうです。私を変えることはとても難しいことのように思えます。しかし変えようと努力しないと何も変わりません。わかってはいるのですが、とても難しいことのように思えます。私の場合は人への接し方を改めることから始めたいと思います。
今日は、貴重なお話をありがとうございました。
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Das Hermann-Hesse Portal (http://www.hermann-hesse.de/jp)