フランス語学科の現在:桑原隆行先生より
2004/08/27
フランス語学科教授 桑原隆行
未来を見据えた地道な、そして積極的な取り組みこそが、幸運な現在を生むのです。
^「ぼくたちは多くの偶然の中に身を置いています。」
^これは、ある韓国映画の台詞からの引用ですけれど、フランス語学科は現在、偶然それも幸いな偶然の中にあります。福岡大学とフランスの二つの大学(クレルモン=フェラン大学とリヨン第2大学)との間に、交換留学協定が結ばれたのです。さらに偶然にも、(最近のフランスの週刊誌によれば)クレルモン=フェランとリヨンは「フランスの住みやすい・住みたい都市ランキング」の上位を占めています。今年(2004年)秋から、その募集・選考が始まります。
^父母懇談会やオープンキャンパスでの問い合わせの多くが、留学や研修制度そして就職に関するものです。実際、入学してくる学生たちは(個人によって程度の差はあるものの)全体的にフランス語学習に対する意欲、フランスの様々な事への関心が高い。在学中や卒業後に長期フランス留学に出かける学生も増えています。意識の高い学生たちに、交換留学や認定留学の制度はフランス語能力をレベルアップさせ、フランスを知る良い機会を提供できるでしょう。それも在学中なら、休学の心配なしに有効にこの制度を利用できるのです。
^それにまた、真剣に卒業後のことを考えてきた学生は、厳しい状況と言われながらも、しっかり就職先を見つけ採用されています。これを見れば、就職もやはり熱心な活動と当人の意欲次第だということが分かります。
^同窓会には過去を回想するイメージがついてまわります。過去を振り返る行為を否定するつもりはありません。人間をある意味で生かしてくれるのは大切な思い出の記憶でもあるわけですから。
それに、回想とノスタルジーは文学作品を生み出す重要な契機です(僕自身、回想とノスタルジーに彩られた文学作品を読むのは大好きです)。でも、大学の学科の存続・発展に関して言えば、必要なのは将来への展望と参加意識(自己投企)です。未来を見据えた地道な、そして積極的な取り組みこそが、幸運な現在を生むのです。実は偶然を導いているのは卒業生の方々のご協力、在学生の熱心で誠実な学習欲、教職員の熱意(宣伝活動、授業、公開講座、出張模擬講義等々)という様々な必然の結果とも言えるのです。
^「時々、知らないうちに未来は私たちの中に住みつく、それで私たちの言葉は嘘を言っていると思いながらも、実は近い現実を示すのだ。」(マルセル・プルースト)